目の手術をしたら「立体的に見える」ことが初めて分かったお話

やっほー!みんちゃんだよー!

 

ご無沙汰しております!

ここ最近全然パソコンに向かう時間がなくてですね。というのもこれまで見えていなかった左目の視力回復手術を受けたせいなんですけど。術前術後共に目の休養で電子機器の使用を控えるように言われてしまって…。

それでなかなか記事が更新できなかったんです。本当にすみません。

 

というわけで先日、ついに目の手術をしてきましたので、ご報告します!

もともと左目が見えていませんでした

サイドバーのプロフィールに書いてあるので知っている人もいるかとは思いますが、私はもともと左目の視力がありませんでした。

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隻眼とは片目の視力がなく、単眼視力のみで物を見ている状態のこと

中学生の頃まではまだ普通に見えていたんですけどもね。だんだんと視力が失われていったんです、徐々に。

 

今年度の健康診断でも右は問題なく視力1.5は出るんですが、左は0.1未満という結果。会社の健康診断等では視力がない場合でも視力0ではなく、視力0.1未満という風に記録されるみたいです。

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今年の健康診断の結果 左右の視力の差がすごい事に…

眼科での精密検査の結果では、限りなく視力が0に近いことがわかりました。

原因はよく分かっていませんが、視神経の異常ではなく水晶体の異常からくるものとのこと。

白内障に似た症状と思ってもらうと分かりやすいんですが、本来は目に入ってきた光が水晶体を通過して網膜まで届くことによって像を結んでいるんです。が、私の場合、何かしらの理由で水晶体で光を吸収してしまい、網膜まで光が届かないために左目で物を見ることができない状態でした。

なので昔からよくある立体視や3D系のゲームなんかは出来なかったわけです。

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立体視画像の例 出典:Wikipedia

気付いた時には左目が見えない状態だったので、私的にはこれが当たり前な状態でした。別段特に困ってはいなかったので特に治療もしていなかったのですが、将来的なことを考えて意を決して手術することにしました。(というか、親の助言が大きかったですが)

なかなか進まない検査

とは言え、滅多にない症状らしく、なかなか普通の検査では細部まで分かりません。検査だけで6回ほど通院しました。麻酔を使用する検査もあったりして結構大変でした。

そもそも眼鏡も作ったことがなかったので、眼科自体数えるほどしか入ったことのない私にとっては、かなりの恐怖でした。

眼科に行ったことのある人ならきっと見たことがあるであろう、こんなのも実際に見て感動したりしてました。

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眼科で見るアレ

実際に検査を進めていくと看護師さんから「全く見えませんか?」と何回も聞かれるんです。

見えてないので分からなかったんですが、覗き込んでる機械に何かが表示されているのに私が無反応だったらしく、看護師さんから確認されていたみたいです。

上の気球の画像は近視・遠視・乱視の検査をする際に映し出されるもので、検査の装置が自動で目の奥行きや焦点距離を計測して近視度・遠視度・乱視度を算出するそうなんですが、この装置が全く使い物にならないらしく、最終的に8年くらい前に別の装置で計測したデータをもとに本来の見え方を推定する事になりました。

この8年前の眼科受診。確か大学の健康診断か何かで専門医を受診するように言われて、眼科で検査してもらったんですが、この時に受診していて本当に良かったです。8年前は今よりもわずかに光を透過していたらしく、目の詳しいデータが病院に残っていたんです。

もしも8年前に受診していなかったら、私の目は見えるようにはならなかったかもしれません。

定期検診って大事よね!

手術のための詳細なデータを取得

前述の8年前のデータをもとに様々な先進機器を駆使し、現在の目の状況を少しずつ計測しながら推定していきました。

その中でも特に重要なのが目の奥行きを調べる検査。角膜から目の一番奥、つまり網膜までの距離を測ります。

この作業で正確な数値が測れないと、せっかく手術をしても眼鏡なしではピントが合わない状態になってしまうんです。

最新の機器では目の奥まで自然光が届かず、残念ながら測定する事が出来なかったので、数年前までメインで使われていた装置で、直接レーザー光を眼球に当てて測定しました。

これが結構怖くて点眼薬で麻酔をかけて、黒目に直接装置を密着させるんです。いくら麻酔をしているとはいえ、流石にかなり怖いです。

ほかにはOCT(光干渉断層計)検査という網膜剥離が起きていないかなど眼底の状態を検査します。こちらは赤外線による測定なので痛みとかはありませんでした。

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OCTで撮影した眼底の断面図 出典:ZEISS

私はアトピー性皮膚炎を持っているので網膜剥離の心配もあったんですが、検査の結果、網膜剥離は起こっていませんでした。

術式の決定

さて、目の状態が分かったのでここから手術の具体的な日程を決めていきます。

私の場合は結構症状的にも重いらしく(失明寸前だった為)なるべく急いで手術をするべきだと言われました。

最初の診察は2019年3月下旬だったのですが、4月上旬の3回目の診察で手術日を5月中旬に決めました。

今回は既存の水晶体を除去し、人工眼内レンズを挿入するという白内障手術と同じ手順で行う事になりました。

人工眼内レンズを挿入すると、自分の意思で近くや遠くにピントを合わせる事ができなくなります。

本来の白内障手術の場合、対象となる患者のほとんどが高齢者であるため、目の中に挿入する人工レンズは単焦点レンズという焦点距離が一点のみのレンズを使う事が多いのですが、私の場合は年齢的にもまだ若いので単焦点は色々な懸念がありました。

一点にしか焦点が合わない。ということは、例えば普段パソコンを使う時のモニターまでの距離に焦点を合わせてしまうと、運転したり或いは仕事をする時にはその時用の眼鏡が必須になってきます。用途に合わせていくつも眼鏡を使い分けるのはなかなか面倒です。

ただ、この単焦点レンズ。保険適用という事もあって、複数ある治療法の中で治療にかかる費用が一番安く済むという利点があります。

次に多焦点レンズという人工レンズ。これは単焦点レンズと違い近くと遠くの二点に焦点が合うという利点があります。治療にかかる費用は保険適用外となる為、かなり高額になります。参考価格的には片目でおよそ65万円ほどです。ただし、医療保険で先進医療特約に加入している場合には保険が下りる可能性が高い為、自己負担額自体は低くなります。あくまで先進医療特約に加入している場合ですが。

「近くも遠くも見えて先進医療特約が適用されるならこれが絶対にいいじゃん!」と思う方も多いでしょう。

でもやはりこの方法にも2つ欠点がありまして。

それは…。コントラストが下がるという点。

分かりやすく言うと全体的に色が薄くなるんです。

もう一つは、50cm〜1mくらいの距離に焦点が合わないという点。

多焦点といえども焦点距離は「近く」と「遠く」の2点です。焦点距離の「遠く」はほぼ無限遠なので問題ないのですが、「近く」の場合は焦点距離が30cm〜40cmと非常に限られた範囲にしかピントが合いません。スマートフォンなどを使用する場合にはいいんですが、ピントが合わないこの50cm〜1mと言う距離。実は読書をしたり、パソコンを操作する時にはキーボードにもモニターにもピントが合わないんですよ。

私はスマートフォンよりもパソコンで作業をする事が多いのでこれはかなり痛手です。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの仕組みや見え方についての解説は四条烏丸眼科様の以下のページが図説なども多くとても分かりやすいです。興味のある方はぜひ一度読んでみてください。

www.karasumaganka.jp

そこで私が実際に医者から勧められた眼内レンズは、これまでの2つとは異なる三焦点眼内レンズというレンズ。

コントラストの低下やピントの合わない部分といった欠点がかなり抑えられている、とても優れたレンズです。ただし厚生労働省未承認の治療となる為、保険適用はされません。そして未承認ですから、もちろん先進医療特約も適用にはなりません。完全自由診療です。

私が治療を受けた眼科は県内でも有数の治療実績がある眼科だったので、すでに三焦点眼内レンズを用いた自由診療を受けた方もたくさんいらっしゃいました。

国内では未承認ですが国外では認可されている国も多く、実際に積極的に治療に使われている事。担当医が三焦点眼内レンズの治療について眼内レンズメーカーからライセンスを得ている事。これまでの事例で大きなトラブルがない事。すでに三焦点眼内レンズを挿入している患者さんの術後の満足度(見え方)が非常に高い事。そして何よりほぼ全ての距離にピントが合う事。などを考慮した上で三焦点眼内レンズを用いた視力回復手術を受ける事にしました。

ちなみにお値段は前後の診察や術前術後の薬、手術費用など全て込みで75万円でした。

いざ手術へ!

手術の3日前から1日4回の点眼薬が必要になります。点眼薬は3種類あって、点眼する順番や間隔、時間が決められているのでその指示に従います。主に手術に向け、目の殺菌をする事が目的です。

そしてこの日から目の筋肉の緊張をほぐす為に、スマートフォンやパソコンといった電子機器の使用を控えるように言われます。本来であれば自動車の運転も控えなければならないのですが、私は職業上どうしても自動車の運転をしなければならないので、やむなく運転だけはしていました。

そして手術当日。手術の待合室で最終的な説明を受けます。

麻酔の種類は点眼薬による部分麻酔。術後は1時間程度の休憩を挟み、当日帰宅ができる事。手術の所要時間は30分程度であることなどの説明を受けました。

ちなみに。この時、点眼の練習もさせられます。

この日は、私を含めて手術を受ける人が全部で6人いたため、順番を待ちます。私は4番目でした。

手術室に入る5分前に点眼麻酔を行います。血圧測定もしました。瞳孔を広げる散瞳薬も点眼します。

いよいよ手術室に入ります。

入ってからはあっという間でした。

レーザー光で既存の水晶体に切れ込みを入れます。角膜の端を数ミリ切開し専用のポンプを挿入し水晶体を除去します。

水晶体が除去された瞬間から私の左目に眩しいほどの光が入ってきました。実に十数年ぶりの眩しさでした。

除去が終わったら人工眼内レンズを挿入します。散瞳薬を使用している為、レンズが挿入されてもぼやけてほとんど何も見えないのですが、天井の手術灯の形ははっきり見えました。

そうこうしているうちに、目にガーゼを被せられて眼帯をテープで固定され手術は終了しました。

体感的には15分程度だったように思います。本当にあっという間でした。

手術の参考画像も無くはないんですが、あまりにも生々しいのでここに載せるのは辞めておきます。

術後のケア

手術が終わったら待合室のリクライニングソファで1時間ほど休憩します(衝立で仕切られています)。休憩が終わると、そのまま会計をして帰宅します。特に痛み止めなどは処方されませんが、もしも痛みが引かない場合には市販の鎮痛剤(ロキソニン等)を服用しても構わないそうです。実際私も帰宅後に痛みが引かなかった為飲みましたし。

翌日、再び眼科で診察を受け眼帯を外します。

外した瞬間、左目に鮮やかな景色が飛び込んできました。ずーっと右目だけで物を見てきた私にとって、あまりにも衝撃的な瞬間でした。景色に奥行きがある事にこんなにも感動するとは思いませんでした。

ちなみに。

術後も1ヶ月間は3種類の点眼薬を点眼しなければいけません。感染症や炎症を防ぐ為です。また、見えるようになった左目の視力が安定するのに1ヶ月ほどかかるらしく、その間はやはりスマートフォンやパソコンの使用時間をできるだけ抑えるように注意されました。

また私の場合、片目だけで生活していた時期があまりにも長い為、しばらくは平衡感覚を掴むのに苦労するかもしれない、と言われました。

しばらくはうつぶせ寝も禁止ですし、温泉やマッサージ等は3ヶ月間禁止です。

温泉もマッサージも好きな私にはかなりつらい期間ですが、なんとか頑張りたいと思います。

両目が見えるようになって分かった事

すでに手術を終えて1週間半が経ちましたが、分かったことがいくつかあります。

ちなみに術後1週間の検査では、術前で視力0だった左目の視力はなんと視力1.2にまで回復していました。恐るべし現代医学。

両目で見るのは想像以上に疲れる

片目でしか見えていなかったので当たり前といえば当たり前なんですが、今までは景色が平面的に見えていたんです。私からすれば何てことはなかったんですが、これが立体的に見えるとなるとなかなかに疲れます。

何ていえば通じるんだろう…。

一言で言えば「情報量が多すぎる」んです。

見ている景色で一番変わったのが奥行きです。いくら片目で見ているとはいえ、数メートルの違いはわかるんです。なんなら30cmの前後感だって分かるんですよ。ただ、それ以下、特に5cm以下の前後感はさっぱり分からなかったんです。

でもこれが両目が見えるようになって、わずか数ミリの誤差まで分かるようになりました。

意識して見ていなくても自然と奥行きが分かるようになったので、常に精密作業をしているような疲れを感じるんです。

これがとても辛くて、両目が見えるようになったその日から肩こりが強く出てまして。毎日肩もみをしてもらってもすぐに肩がこるような状況です。

もしかしてみんなもこんなにつらいの…?

気をつけないと目の焦点が合わない(斜視になる)

左目の筋肉がかなり衰えているようで、気が緩むと斜視になってしまうんです。

もともと幼少期に間欠性外斜視と診断されていて、時たま斜視になる事があるんです。基本的に集中して物を見ている時には斜視にはならないんです。例えば運転している時やパソコンでブログを書いている時などは斜視になりにくいんです。

ところが疲れてきて集中力が切れたり、暗いところに行くと目の筋肉が緩んで斜視になってしまうんです。

この「斜視にならないように意識する」というのも今までにない感覚なので、かなり疲れます。まぁ斜視でも別に困らないんですけど、社会的な視線がいまだに冷たいので、できるだけ斜視にならないように気をつけています。

ちなみに斜視になっている時には下の方のツイートのような、こんな見え方になります。

同時にいろんな所にピントが合う

これは人工眼内レンズの特徴というか、どうしてもその構造上止むを得ないのですが、遠くの山を見た時にそれよりも手前にある電柱や電線、家の屋根にもピントが合ってしまいます。

人間の目の中にある水晶体(レンズ)にはピント調節の為の筋肉がありますが、人工眼内レンズの場合は筋肉をつなぐことができない為、自分の意思でピントを調節することができません。

本来の見え方は一眼レフカメラで撮影したような、一点のみにピントが合いその前後はぼやけたような見え方になると思うのですが、人工レンズの場合は昔流行った使い捨てカメラのように全ての部分にピントが合うような状態になります。

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人工眼内レンズでの見え方の例

上の画像は二焦点レンズの場合ですが、私の場合は三焦点レンズなので机の上のカップや花にも焦点が合ってしまうような状態です。

経験者の話では慣れれば気にならなくなるようですが、今の所私は結構気になります。

これからやってみたい事

両目が見えるようになったので、今までできなかったことが結構できるようになったんですが、その中でも特にやってみたいことがいくつかあります。

大型免許の取得

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大型バスの日野セレガ

今一番やって見たいことがこれ。もともと自動車の運転が大好きな私は、バスの運転手になるのが夢でした。

大型自動車免許の取得には普通の視力の他に深視力という検査項目があります。

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新視力検査の図 出典:那須自動車学校

この検査は両目が見えていないとできないので、今までは大型免許取得の入り口にすら立てていなかったのですが、これでようやく入り口に立てるようになりました。

これから数年のうちには大型免許を取りに行きたいです。ゆくゆくは大型二種免許を取得して、観光バスの運転手になりたいと思っています。

VRゲーム

ここ最近流行ってるじゃないですか、VR。

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PlayStation®VR

PS VRとか体験型のゲーム機がゲームセンターにあったりとか。

興味はずっとあったんですけど片目だと立体的に見えないので、今までは諦めてたんです。

とりあえず、まずはPS VRを買ってきて何かゲームでもやってみたいです。

特にグランツーリスモをやってみたいですね。

3D映画鑑賞

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これもVRゲームと同じです。両目が見えていないと立体的に見えないので今までは泣く泣く諦めてきましたが、これからは話題作で3D映画があったら是非見に行ってみたいです。

邦画だとまだまだ3D映画は見かけないですが、ディズニー映画やハリウッド映画などでは少しづつ増えてきているので、今後も注目のコンテンツですしね!

まあ私の住む横須賀市は今年の3月で映画館がなくなってしまったので、残念ながら横浜市まで出なければ映画が見られなくなってしまったんですけどね…。

カムバック映画館!

おわりに

さて。1ヶ月半ぶりの更新となってしまったわけですが、みなさん私のこと忘れてないですよね…?ね?

本当はまだまだ電子機器の使用を控えなければならない期間ではあるんですが、とりあえず私の身に起きた変化をいち早く皆さんに伝えたくて、こうして筆をとったわけです。

まだまだ両目で見える感覚に慣れていないせいか、普通に枝にぶつかったり、段差につまづいたりしていますが、それでも以前よりは格段に少なくなってきています。

趣味人(しゅみびと)の私としてはかなり趣味の幅が広がったわけで、これからいろいろなことに挑戦できると思うと今からワクワクが止まりません。

私の場合は結構特殊な症状だったんですが、例えば若年性白内障などで悩んでいる人の、少しでも力になれる記事になったならとても幸いです。

「自分も手術しようか迷ってる…」という方がいらっしゃったら、もしも私でよければ経験談などお話しさせていただきますね!いつでも聞いてください!

それでは!長くなっちゃいましたが、今日はこの辺で!

以上!みんちゃんでした!

またね!ばいばい!